人生訓と格言
格言か
勝つことばかり知りて、負くることを知らざれば、害、その身に至る。
天下人であり徳川幕府を開いた徳川家康の言葉で、普段、勝負に勝ってばかりで負けた事が無いという人は必ずいつか身を滅ぼす、害を被る事になる、という、かつて武田信玄に戦で大敗し、命の危機に陥った事のある徳川家康だからこそ言えた、重みのある言葉です。
勝つ者は怨(うら)みを受け、敗れる者は悔しさに夜も眠れぬ。勝敗を離れた者こそ、心安けれ。
釈尊
「釈尊」とは、仏教の開祖・釈迦に対して、仏教徒が用いる尊称です。
家内中、仲の良いのが宝船、心安く世を渡るなり。
彼を知り、己を知らば、百戦危うからず。
孫子の兵法。敵についても味方についても情勢をしっかり把握していれば、幾度戦っても敗れることはないということ。
彼を知るは難(かた)きに似(に)て易(やす)く、己を知るは易きに似て難し。
敵情を知ることは困難なように見えてその実、容易であるが、味方の情勢を知ることは容易なように見えてその実、困難である、という意味です。
寒苦暑熱、怖(お)ずること勿(なか)れ、ただ不修(ふしゅ)を怖(お)ずべし。
正法眼蔵 行持巻
正法眼蔵とは、曹洞宗開祖である道元禅師が32歳から54歳までの23年間に弟子や大衆に説示した教えを集めたもので、一般には95巻としてまとめられています。
元日や、今年もあるぞ大晦日(おおみそか)。
二宮尊徳 翁
先行きに備えよとの心構えを説いたものである。
元日や、またうかうかの初めなり。
艱難(かんなん)汝(なんじ)を玉(たま)にす。苦しいときこそしめたと思え、自己向上の絶好機。
目の前の苦難が、人を人一倍大きくたくましくする。艱難を自ら求めよ。
格言き
昨日の苦労は今日の肥やし、今日の苦労は明日の実り。
獅子てんや
気負うことなく、気魄(きはく)を込めて、人に対せず天に対する。
金銀は、慈悲と情けと義理に礼、身の一代に使うものなり。
格言く
愚痴言うな、責め合いするな、何事も、思うままにはならぬ世の中。
口に語る人尊し、語るとも知らず、後姿(うしろすがた)で語る人さらに尊し。
雲晴れて、後(のち)の光と思うなよ、元より空に有り明けの月。
雲が晴れたから光が発したと思ってはならない。雲に隠れている間も、有明の月は変わらぬ光を発し続けていたのである。そのように、私たちの心にも仏性という満月のような光が宿っている。
雲よりも、高き所に出(い)でて見よ、何とて月を隔(へだ)てやはする。
夢窓国師(むそうこくし)
雲より高いところに出てみなさい。ほんの少しでも月を隔てるような障害物があるでしょうか。
月は悟りの暗喩。雲は現世のさまざまな雑事・雑念の暗喩。
格言け
賢者の相手は誰でも良いが、愚者の相手は、賢者でなければ勤まらぬ。
賢者は人の長所を見、人を育てる。愚者は人の短所を見、災(わざわ)いを被(こうむ)る。
格言こ
強将(ごうしょう)に弱卒(じゃくそつ)なし。弱将(じゃくしょう)に強卒(ごうそつ)なし。
強く勇ましい将軍の下に、弱い兵士はいない事から、上に立つ者の力量が部下の力量をいかに左右するかという事。
極楽は、尋ね捜せば十万億土、作り出(い)だせば心中(しんちゅう)にあり。
十万億土とは、この世から極楽浄土に至るまでの間に存在する無数の仏土の事。
心せよ、使うも人の思い子(ご)ぞ、我が思い子(ご)に、思い比べて。
快(こころよ)い返事一つで天も日も、人の心も円(まる)くなるなり。
心をば、千々(ちぢ)に砕(くだ)きて選(え)り選(え)りて、悪意を除け、米研ぐがごと。
子育ては、五つ教えて、三つ褒(ほ)め、二つ叱りて良き人にせよ。
褒め方・叱り方は、さじ加減ひとつで子供をぐんと伸ばしたり、逆に傷付けてしまうこともある難しいものです。ただ叱るのではなく、褒めることで子どもを認めてあげてから、分かりやすく諭しましょう。
事成すに、誠意(まこと)と努力の他になし、ただ根気よく努めよや。
子供叱るな来た道じゃ、年寄り責めるな行く道じゃ、思いやりこそ人の道。
この風に、不足言うなり夏座敷。
小林一茶
子らは皆、素直で、優しい、やる気のある人に育てよう。